MC098月8日 夕刻 証言133見た話、広島の新型爆弾 証言134おにぎり、最後のお別れ
証言135正夢ば見とるとですよ MC108月9日 午前 長崎 証言136やっぱり造船が狙われている
証言137その朝、奇妙なことに 証言138『僕に飛行機』、それが最後の 証言139金文字が、秋までもつか
証言140B29、3機あり 証言141そのとたんに電気が消えた MC11午前11時2分
証言142丸い玉が長崎を押さえつけ 証言143真っ赤に燃える火柱が 証言144生暖かい風が背中の方を
証言145背後から原爆の光線が襲う 証言146燃えてるんです、靴が 証言147鬼みたいのが「クワー」って
証言148背中に「熱ッ」って感じた 証言149目をつぶる時間もない 証言150弟の頭、真っ二つに割れていた
証言151苦しい呻き声に蝉の音が 証言152誰もいない別世界 証言153ちょうど肩んところから腰まで
証言154気がついたら釜の中に 証言155手首を鋸で切って、出して 証言156生きながら燃えてる人間も
証言157血膿の雲と炎が交差して 証言158いっしょに「君が代」 証言159すでに腰から下の感覚がなく
証言160自分はこれで最期 証言161外へ向かってぼとぼと 証言162「ウワ」って思うた時には
証言163それでも『抜いてくれ』 証言164背中がないんですよ、えぐり取られて 証言165機銃掃射でダダダダダーッ
証言166南無大師遍照金剛 証言167きたない水に十字を切って 証言168お願い、屋根を持ち上げて
証言169どうか立ち止まって、力を貸して 証言170肉で歩いてるんです 証言171次から次、次から次へと
証言172今でもあの子に何とか水を 証言173首のない赤ちゃんに『泣くなよ』 証言174魂まで吹き飛んだような状態に
証言175うちの防空壕やけん、出て行かんね 証言176これではもう、復興もどうにもならん 証言177落ちる度に、街は火の海に
証言178はっ、県庁が燃え出した MC12この時刻を遡ることおよそ1時間 証言179助かったのは、男では私一人
証言180血のような月の色 証言181もう見渡す限りペシャンコ 証言182至近弾が近くに…どこも同じ
証言183『あなたの顔はお化け』、自分も 証言184お腹が切れ、サッシが盲貫 証言185本当にこれでこの世の中終わり
証言186大学本部はここだぞ、学長はここだぞ