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証言133 | 8月8日 夕刻 | 見た話、広島の新型爆弾 | 当時47歳 |
退庁時刻でした。
慌ただしく勢い込んで知事の部屋へ西岡さん(西岡竹次郎代議士)
が入ってこられたんです。
その時まで私は、広島の新型爆弾のことについては、
ちょっと新聞に1〜2行出たのを、ちょびっと見ただけで、
全然知らなかったんですが。
西岡さんが『広島の新型爆弾というのは、あれは大変なことですよ。
実は、私は東京の帰りに、広島を徒歩連絡で、海田市かどっかで降ろされて、
あと徒歩連絡で、通過して、たった今、長崎の駅に着〈いたばかりなんだが、
大きな、両手で抱き回すような大きな木がぽんぽん折れておる。
鉄筋コンクリートのビルが、建物がみんな押しつぶされる』というような話。
『広島の全市が火の海になったんだ』と。
『広島の街全体あちこちに、ベロベロに、顔から胸から
焼け爛〈れたような人達が右往左往〈に走ってる』
というような状態であったという話を、聞いた訳〈なんです。
それで私は、『いったい今の話は、あんた自身の目で見たのか、
それとも人から聞いた話もその中に入っているのか』ということを言ったら。
『いや、これはもう私の見た話をみんなするんだ』と。