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証言141 | 8月9日 直前 | そのとたんに電気が消えた | 当時47歳 |
今日はとても大事な会議をするんだから、
みんな忌憚のない自分自身の考えを披瀝〈してくれ、と言うて
始めようとしたらね、そこへ佐世保の市長、小浦くんというの。
『ちょっと知事に、至急話したい、お願いしたいことがあるから…』
『いま会議を始めるばかりのところだけど、
立ち話位〈なら入ってきてもいいよ』と。
言ったら、いきなり入って来た時の小浦くんの言葉が、
『広島はえらいことになりましたねえ、大変なことですね』と
こういうことを言うたから、
『ちょっと待ってくれ、それは誰に聞いたんだ?』と言ったら
『いや、鎮守府〈司令長官から直〈に聞きました』
『そうか、それはとてもいいニュースだから、
その問題についての、いま、会議をしよるんだからね、
キミの聞いた、鎮守府〈司令長官から直〈に聞きいたというその話を、
先にみんなに聞かせてやってくれ』と。
それはなによりありがたいことだ、と。
言ったそのとたんに電気が消えたんですよ。