三菱兵器を無我夢中でみんなの後ろから逃げ出したときには、 ちょうど、あたりは黄色いような、黒いような黄色いようなね、 世の中になっているんですよ。 昼なのか夜なのか分からないようなですね。 薄暗いような黄色いような、空、全体が、 そういう、光がなくてこの世の、ものとは思えないような状態。
逃げていく人たちの姿というのは無惨〈で、 田んぼの中に女の子がバタンと倒れたんですよ。 ちょうど私の前を行ってましてね。 2〜3歩行ってバタンと倒れたんですよ。 どうするかなと思って駆〈け寄ったら、自分でまた立ったんですよ。 立ち上がって、また何歩か行ったら、もうパタッと倒れたんですね。 それで、側に行って『しっかりしなさい』って揺すったんですよ。 『看護婦さん呼ぶからね』って言ったんですよ。
『お母さん』と言って、それから『南無大師遍照金剛〈』っていうお題目を 2回くらい聞いたように思います。 |