一瞬もう闇夜になっちゃった訳です。 ですから、はっきりその時に爆発音ていうものは聞いてない訳〈ですよ。 あまりに近いためにですね。 ただ稲光〈が、一瞬全世界が明るくなって、 一瞬また暗黒の世界になったような状態で。
気がついた時には、魚雷〈の心臓部たる噴霧器〈の、 これは火力試験をするところの、その釜の中に入っちゃったんですね。 と、立ち上がろうとしたところが、『あっそうだ、ここは釜の中だったんだな』、 何時〈入ったんだろう。自分でも無意識だからわかんなかったんですが。 ほとんど薄暗いもんですから手探りで出て。
ほんで、表でちょうどその時に女の子が二人で表を掃除していたんです。 これが二人ともどこへ吹っ飛んだんだか判らないですねー。 なんの形もないんです。 ほんで、ちょっと行きましたところが、組立工場長がですね、 左足の片っ方が全然ないんです。 結局なんかの拍子に切れたんでしょうね。切断されてるんです。 そこには、おびただしい人が泣き叫〈んでいる…。 もう真っ暗ですしね。 |