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証言157 | 8月9日 30分後位? | 血膿の雲と炎が交差して | 当時36歳 |
防空壕に行ってみると、もうすでにもう一杯ですわね、重傷の人がね。
私なんかが入る余裕はないとです。
皆、息絶〈え絶〈えで、とにかくもうなんて言いますかな、
地獄ですね。地獄絵巻を見るとと一緒です。
そいで、『助けてくれ、助けてくれ』言うけど、こっちも怪我〈しとるし、
もうどうしようもない。
そいからしばらくしたら、
今度はグラマン(アメリカの戦闘機・艦載機)がやって来たです。
ズーッてねえ、グラマンが上ズーッって旋回して、
それで夏やから白いもん着とるもんだから、
もう目に付いたものは、わーっと機銃掃射〈やるわけですよ。
その当時が、雲なんか見るとですね、何とも言えん、まあ、
血膿〈を流したような雲がですね、
それ思い出したらちょっと頭がどうかなるごたるですね。
血の膿〈を流したような雲と、下から燃え上がった炎とですね、
上からの雲と交差して…。
何とも言えん、もう、いやな気持ちがするですね。今でも。
そしたら今度は丁度〈近くに師範〈学校がありましたが、
師範〈学校が燃えだしてですね、
それもどんどんどんどん、もう燃えてですなぁ。
見る見るうちに長崎の街は燃え出したですよ、どこも。