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証言162 | 8月9日 1時間後位? | 「ウワ」って思うた時には | 当時15歳 |
もう、自分たち以外の所からもワンサワンサ、
羊の群みたいに、もう走って逃げるわけですよ。
そいでわしもそれに合流して。
ところが、全部、駅の方に曲がる列は一人もおらん。
全部、反対の浦上の方にですね。
先頭の曲がるごと、どんどこどんどこどんどこ行くわけ。
そしたらもう、女の人が真っ裸、道に座って。
もうなんもかんもないわけ、びっしゃげて(つぶれて)しもうて、民家ちゅうのは。
はっと見たら、こぅーして泣きよるわけですね。
見たら、おっぱいが千切〈れてですね、こぅーしとるわけですよ。
そして、「ウワ」って思うた時にはもうどんどんもう行くわけです。
並んで行くわけですからもう、なんかの牛みたいに。
何十人、何百人、並んで行くわけ。生き残ったもん全部が。
ほして、行ったらですね、ずーっと家のじゃげ(つぶれ)とりましょう。
しゃがれた中からですね、『助けてー』という声が聞こえるわけですよ。
走りよったら。で、誰がおめきよるかは知らんけど、
女の人がおめきよることは間違いなかわけです。女の声ですから。
誰もそれを留〈まって、上げてくれる人は誰もおらんですね。
私も、もうそうどころじゃない。全部逃げるから全部逃げるわけですよ。