ぱっとこうね、浦上の方の空を見たわけですよ。 そしたらもう浦上〈一帯がですね、地上から天に届くようなですね、 それこそ真っ赤に燃える火柱〈が立っていたんですよ。 『うわぁ、こりゃ浦上〈はおおごと、浦上〈はこら火の海ばい』って。
それがですね、その火柱〈が、ずーっと消えるのと一緒にですね、 上からなくなり、下からなくなり、すーっと消えて縮〈まってですね、 火柱〈がなくなるのと一緒に、キノコ雲がずーっと上がったわけですよ。 キノコ雲が上がる時分〈にはですね、空の色がきれいな茄子〈の色、ですね。 ああいう茄子〈の色に空が変わって、一転してかんかん照っとった お昼の太陽が、肉眼で正視できるようになったんですよ。 そしてね、もう太陽だけが、火のもろ紅〈(?)のようにして燃えているんですよ。 ああ、こりゃもう天と地のひっくり返ったと。 |