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証言150 | 8月9日 直後 | 弟の頭、真っ二つに割れていた | 当時13歳 |
前を見ましたところ、楠が、もうパチパチパチパチとですね、
星のように光って木の中から、火が「パーッ」と吹き出たみたいな感じで、
七色の、色で燃えているのをはっきりですね、この目で見たんですよ。
ああ、これで終〈いた、これで終わったんだなあ、
いつ、自分はいつ死ぬんだろうか、っていう気持ちだけっだったですね。
慌〈てて『お母さーん』って言ったんです。お母さんが、
『タダヒロ、タダヒロ』って弟の名前を何回か呼ぶうちにもう、
火傷〈でですね、水膨〈れを抱〈えて弟を…。目の前に居りましたもんですから、
『ああここに居た』ちゅうて、左の手で抱〈えてですね、
防空壕〈に走って行ったんですけど、その時弟の頭を見ましたら、
真っ二つに割れていた。
頭から血がどんどんどんどん出てますもんですから、
こらいけないと思うて、また慌〈てて防空壕〈に
あたしも一緒に走って行ったと思います。
その時は家の中も外も、火に包まれましてね…。
お布団〈を干してた、そのお布団〈に光線があたりまして、燃えてたと思います。
母が『あいた、あいた、あいた、あいた』って言いながらですね、
『お母さん、どうしたの』って、ここを見たら水膨〈れでぶら下がっているのが
ビーッっと破れちゃったんですよね。
破れたかと思ったら、そこからヒリつくんでしょうね、
『痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ』って、お母さんが始終〈言い出しましてね…