被爆者の声147

<body><a href="../index.html">HOME</a><br><table summary="証言137"><tr><td class="testi">証言137</td><td class="date">8月9日　朝</td><td class="i_midasi">その朝、奇妙なことに</td><td class="age">当時40歳</td></tr></table><table summary="背景画像あり"><tr><td class="bg" background="../photo/img108.jpg"><div class="large">だからその朝、<br>『僕は今晩は当番だから、たぶん帰られないと思う』と<br>子供<span class="small">（が）</span>言いましてね。<br>その時、<ruby>奇妙<rp>〈<rt>きみょう<rp>〉</ruby>なことに、いっぺん出て行って、そして途中で引き返して来て<br>いっぺん帰って来ましたもんね、その朝は。<br>おかしいねこの子は、今日は帰って来とる<br>『あんたどうしたの、今日はサボるつもり』って言ったら、<br>『いいや、なんかちょっと忘れ物したようにあるから、<br>僕、取りに来た』って言って。<br><br><ruby>防空壕<rp>〈<rt>ぼうくうごう<rp>〉</ruby>の中に大事な書物を、いつも入れとくんですけど、<br>それを見に来たって言って、わざわざ見に来たんですよね。<br>ああここに入っとるから『おかあさん、もしも爆弾が落ちたときには、<br>この本だけは大事にしといてくれんね』とわざわざ私に言ってね、<br>そして出て行ったんです。<br>その頃は、ドイツ語で書いた本は非常に貴重だったんでしょうね。<br>それでわざわざ引き返して、私にそう言って、出て行った。<br><br>それから弟の…、まだ4つと2つの子供を、妙に抱き上げてね、<br>『兄ちゃん行ってくるからね、元気でおんなさいよ』<br>いつもせんことをして出ていったんですよ、今から思うとね。</div></td></tr></table></body>