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証言158 | 8月9日 13時頃 | いっしょに「君が代」 | 当時38歳 |
どんどんどんどん長崎方面の、三菱の子供たちが、
全部もう逃げて来るんですけど、
どの子を見ても、髪はね、逆立ち、もうシューっとなり、
丁度、お不動〈さん(不動〈明王〈)の絵ですね。
そんな形の、もう着物はもんぺはボロボロボロボロになって、
そしてもう、血みどろでしょう。そしてもう、顔はとにかく真っ黒。
男か女かもそれこそ判りませんね。それがゾロゾロゾロゾロ。
丁度〈水が流れて来るみたいに私どもの防空壕〈にの方に逃げて来る。
わたしもそれに連なってずーっと一緒に防空壕〈の中、入ったわけ。
そうしたらもう、中は真っ暗でございましょう、電気は点〈かないですから。
真っ暗い中、みんなワアワアワアワア泣いて入るんですよね。
悔しくて泣いているのか、痛くて泣いているのか、
なんで泣いているのか判らない子が。
何人もじゃないでしょうけど、そのワンワン
防空壕〈の中ですから響くんですね。
さすがに私も情〈けなくなって、これはなんとか、
この泣くのを止めたいなあと思いましてね、
「君が代」を歌い出したの、私が。
で、「君が代」を歌って、1番を歌ってしまう頃までは、
ワアワアワ言ってたんですけどもね、
2番を歌う頃ね、段々段々声が少なくなりましてね、
そして、泣き声がね、いっしょに「君が代」歌い始めたんです。
その時は、本当に嬉しくてね、「君が代」っていうものがね、
その頃のね、人達にこれだけの感興〈を沸かすかと思いましたね。
みんな「君が代」歌いながら…