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証言152 | 8月9日 直後 | 誰もいない別世界 | 当時34歳 |
ちょうど別世界なんですね、誰もいないから。おかしいなあと思ったんですよ。
そして周りを見たら薄暗くなってるんですね、さっきまで真昼でしょう。
空は青くて白い雲が少しあるだけでね。もう、きれいな景色だったのがね。
ちょうどもう薄暗くなってね、真冬の山で雪がいっぱい降ったとき、
薄暗ーくて、なんとなく暗い景色になりますね。ああいう状態なんですね。
陣地に今まで大勢いたのが一人もいないでしょ。
とにかく「ぱっ」と下を向いたときね、
丁度〈隙間〈なく一定の正確な間隔を置いてね、
チョロチョロ燃えているんです、街全部が。浦上〈の方がですね。
長崎医大の真上ですからね、一目で上から見えるんです。
街全体が、浦上〈の方が。
いつの間にこんだけの焼夷弾〈落としたのかな、と思ったですね。
これが本当につながったら、続いてしまったら火の海だなと思ったですね。
ゾーッと背筋がまた寒くなりましたよ。
すべて終わりだ、全部がおしまいだ。