【2007年10月22日に来たメール】

Subject: 広島滞在期間延長
古川さんへ伊藤より。

 一夜考え、広島にもう数か月滞在、英語で被爆体験を語れる被爆者を探すことにしまし
た。

 日本語で話してもらい、それを文字におこしてもらい、それを日・日語訳し、それを英
訳してもらい、字として掲示する。ンなことするより、最初から英語で収録したほうが、
はるかに早く、かつ効果的だと気がついたからです。かたことで結構。そのほうが迫力が
あるかも。へたくそな「被爆者の絵」が、異様な迫力を持つように。

 どのくらい見つかるか判りませんが、「今」なら何人かは見つかりそう。「今」でない
ともう記録不能。わたしフットワーク軽いほうなので、いっちょやってみたったるかー、
という心境になったわけです。

 したがって来月10日の「合同決起集会」は無期延期します。
 あーいそがしい。

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伊藤明彦
※古川注:上記の「合同決起集会」というのは、私との飲み会のこと。
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【翌 23日のメール】

Subject: 早くもふたり英語証言収録
古川さんへ伊藤より。

 23日、広島市長、ふたつの被団協、平和文化センター、資料館などへ「英語で被爆証
言が語られるときはお知らせください」の要請文を配って歩き、午後、二人の被爆英語証
言をビデオ収録しました。
 
 聞き手はノルウエーの大学からきた青年男女約30人と、米国議会によって設立された
「イースト・ウエスト・センター」のメンバー(大学教授、市議会・州議会議員、政府職
員、弁護士、評論家など)22名。チラシをダイレクト・ハンディングしました。  
 明日は元高校英語教師の被爆者と面会、協力要請します。なにもかもとんとん拍子でウ
ソみたい。これ絶対に「時代精神」ですね。「英語でヒロシマナガサキの被爆体験を伝え
る」が「今」の時代のキーワード、時代の精神です。

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伊藤明彦
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【翌 24日夜7時のメール】

Subject: 目標達成率97パーセント
古川さんへ伊藤より。

 今日、リサーチの結果、今月末の収録被爆者数175人となる見通し。目標180人に
対して達成率97.2パーセントです。ひとりでやるかぎり、この辺が物理的に限度です


 来月からは数値目標はおわず、「英語証言」という一点にしぼって、やってみます。

 こんなこと書くのは、自分でもどうかと思うのですが、ヒロシマの女性の親切なこと、
わたしに好意を持ってくださること、なにかしら異様です。

 ある被爆者に、あらためて英語での証言をしていただきに行くのですが、「妻があなた
にあいたがってるから、時間帯をかえてくれ」とおっしゃるんですよー。      奥
さんがとくにおられなくても、収録にはさしつかえはないのですが。

 ある老婦人に何度もリサーチに行っているのですか、娘さん(48歳 むろん既婚者)
が、行くたびにお店の銘茶やら銘柄米やらお菓子を「イトウさんに食べてほしい」とおっ
しゃって、くださるんですよー。

 いつぞやはホテルの日本料亭で昼食を招待してくださった老婦人がいたし、「時代精神
」なのか「背後霊」のお力なのか。ありがたナンマン ありがたナンマン。

 

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伊藤明彦
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【同 24日夜9時のメール】

Subject: 「魔」がついてるというのか「もののけ」がついているというのか
古川さんへ。

 夜、被爆者のビデオをリハーサル中、感ずるところあり、たちまち二首。

 われいじめその日学校休ませし悪人「命の恩人」たりき

 愛善意身の上おもう熱いむねそのつながりが死地にゆかせし

 そこへとつじょ電話。例の被爆者青年同盟のメンバーより。両親ともかなり深刻な被爆
体験をした人で、いまは故人。本人は被爆二世。

 「英語の証言者をさがしている」と言ったら、「自分はいつも外国からの訪問者に、英
語で両親の体験をスピーチしてます」と。
 たちまち来月の収録が決まってしまった !! 
 
 これどういうことでしょうか。中沢さんもすぐOKだったし。判らない。

                             「もののけ」男より。

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伊藤明彦
※古川注:上記の「リハーサル中」というのは、内容書き起こしのこと。