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証言341 | 9月5日 夜 | 最期だなという覚悟 | 当時39歳 |
9月の5日の晩でした。その時ね、
これはもう最期だなという覚悟をしたんです。
というのはもう、意識は朦朧〈となるのを自分で分〈かるんですねえ。
深い…、ずーっと底知れん所へ落ちて行くという実感ですね、
これは明日の朝まで持てるか持てんか
わからんていう覚悟をしたんです。
それで、夜の夜中ですが、一言、工場の人に
お礼を伝えて欲しいという気持ちがあったもんですからね。
『誰か呼べ』というようなことで。
来ましてね、『先生、どうされたんですか』と言うから、
『残念ながらもう最期〈じゃ。意識が朦朧〈となるのが
今日は分〈かる、はっきり分〈かる』で、
『明日の朝になって、口が利〈けるかどうか分〈からんから、
利〈けるうちに一言お伝えを願いたい。他〈ではないが、
長い間ただ皆さんにお世話になりました、ということの一言』それだけ。