HOME
証言340 | 9月4日 夕方 | 隣の部屋でぼそぼそ | 当時37歳 |
(避難先で)4日の夕方に『風呂、入んなさい』言うから、
入らしてもろうて、もう上がろう思うて、
身体を拭きよって、背中を拭こう思うてタオルをこう、
背中を後ろへ掛けた思うたら、
後ろがどうかなったようにしたんです。
それっきりもう、動かれんようになった。
そいでまあ他の者も来てからかかえてもろうて、
そして母屋の方へ連れて、寝さしてもろうたっきり。
隣の間でぼそぼそぼそぼそ、
まあ、あたし、ここ寝とる(とすると)、あっち、襖ひとつ向こう。
小声で言いよるんじゃろうけど、意識はしっかりしとるし、
耳はまだ、ぼやっとしとっても聞こえるんですよね。
『もう死相に変わってきたし、脈〈も止まってから、
ああいう風にするすけ、今晩なんじゃろう、
よう持てても12時ぐらいまで持てんで』って言いよるけん。
隣で話しをするんでしょ。私はね、その時、ああー
死ぬのが恐ろしいとも、死にとうないとも思わんですその時には。
こういうような所へ、私は来とうなかった。
ここへ来て死ぬるんじゃったらね、
みんなが死んだ広島で死にたかったのうー。
みんなが死んだ広島で死にたかったのうー。