おじと二人で夜道を歩きながら、
おじが、『これから先、ここから向こうは
自分の田んぼだから』とか、
『父にもしものことがあっても心配することない』、とか、
そんなこといろいろ言うんですよね。

それでも、そんなに父がもう危篤きとくの状態だということには
思いあたりませんで。

それで、おじの家まで行きましたら、もうそいこそ特有の、斑点はんてん
髪の毛が抜けるし、ですね。食事はのど通らないし、
そして、おばが、とにかく自分たちがやっても食事受け付けないから、
おまえがやったら少しはのど通るだろう、ちゅうことで。

それで、食事をさせようと思っても、なんて言いますか、
のどから次々にこう、もうちょうど、言えば、肝臓かんぞうみたいなですね、
かたまりみたいなのが次々上がって来るんですよ。
そいでもう、しまいにはとうとう、はしでつまみ出そうとしても、
出てこないわけですよね。そんな状態でくるしみまして。
9月の3日、とうとう息を引き取りましたもんですからね。



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