8月の31日の夜ね、
もう今度はすごい嘔吐〈おうと〉し出したんですよ、兄貴の方が。
ほいでもう『苦〈くる〉しい、苦〈くる〉しい』って言って、七転八倒〈しちてんばっとう〉ですよね。
そうこうするうちにもう、「ひきつけ」みたいになっちゃって、
（9月1日の）朝方。そいでもう、死んじゃったですよ。

そいでその死ぬるちょっと前に、
姉の方も『傷が痛いよ傷が痛いよ』って言って、
姉がちょうど（兄より）1時間ぐらい前に死んで、それで、
兄貴は原爆症ですか、そいでもって死んだんですよね。
死んだときに、黒いあれ（斑点）がいっぱいこう、身体中にあったですよ。

そいで今度は親父〈おやじ〉も結局寝込んじゃったんですよ、
身体がだるいからって言って。
トイレ行きたいからって言うんで、やっと歩いてそこまで行って、
トイレするかしないかのうちに倒れて。
親父〈おやじ〉が（9月）2日の日に死んじゃったんですよ。

こりゃ大変だ、みんな、もう3人も死んで行くし、僕一人になっちゃうから、
おふくろだけでも生きてもらわなきゃ困るからと思ってね。
まあその頃になったら、だいぶんそういう黒い斑点〈はんてん〉が
出たら死ぬるというのが分〈わ〉かってきたわけですよ。
で、『黒い斑点〈はんてん〉出てるんじゃないの』って言って、
こう見たらね、この辺にこう、黒い斑点〈はんてん〉こうあるんですよね。
僕も気が気じゃないですよ。

そいで結局、（母は）6日の日に亡くなったんですがね、6日の夕方。
で、そん時もやっぱりこういう黒い斑点〈はんてん〉が、いっぱい出てて。