被爆者の声353

<body><a href="../index.html">HOME</a><br><table summary="証言331"><tr><td class="testi">証言331</td><td class="date">8月15日以降？</td><td class="i_midasi">廊下に鏡があって…、自分なんです</td><td class="age">当時28歳</td></tr></table><div class="large">医務室から帰って来る時、初めて薄目を開けたら、<br>目が見えるんですね。私の目が。<br>そいで、なんのことはない、<br>学校の廊下をずーっと歩いていたところが、<br>学校の廊下に<ruby>鏡<rp>〈<rt>かがみ<rp>〉</ruby>があったわけですよ。<br><ruby>鏡<rp>〈<rt>かがみ<rp>〉</ruby>ってことに気が付かないで、<br>ずいぶん向こうから<ruby>酷<rp>〈<rt>ひど<rp>〉</ruby>い人が来るなあと、私も見たわけなんです。<br>したらその、向こうから来るんじゃなくて、自分なんですよそれが。<br>そいでねびっくりしてですね、これが自分かと。<br><br>いやもう、<ruby>眉毛<rp>〈<rt>まゆげ<rp>〉</ruby>は無くなっちゃっているし、<br>耳からですね、耳の柔らかい所が全部もう、<br>まん丸になっちゃてるんですから、パンパンになってるんです。<br>それでそれに、かさぶたを取って、油を塗ってるもんですから、<br><ruby>赤膚<rp>〈<rt>あかはだ<rp>〉</ruby>の出た、いやもう、本当にね見られない状態でしたね。<br><br>それでその時に、私たちよりも傷の軽い人たちがですね、<br>起きて食事の世話だとか、その辺、<ruby>掃<rp>〈<rt>は<rp>〉</ruby>いたり<br>片付けたりしてくれた、戦友が何人かいるわけですよ。<br>そうしますとね、そういう世話をしてくれた人がね、<br>翌日になると毛布が起きないんです。もうこの世の人じゃないんですよ。<br>傷の軽い人ほどそういう、結局見るに見かねて、<br>自分たちでそういう世話をしてくれたんですけども、<br>それが結果的には、その翌日はなくなっていると。<br><br>それが一人だけなら「あの人は」ていう風にいいましたけれど、<br>日を追って、今日もだ、今日もだといって、それで私も…</div></body>