くもんがないです。
本当、きもんのないほどつらいことはないですよ。
下駄から靴からみな燃やしましたね。
おクド(かまど)さんに。汚いじゃなんじゃいわれん。

夜ね、どうしても明日くもんがないから、
どっかの木を盗みに行こう言うてね、盗みに3人が行くんですよ。
毎晩りに行かにゃ、どっかに木をりに、盗みに行かにゃいけんけど、
昼、どこぞあるか、見とくんです。
そして夜になると盗みに行くんですけどね。

その、保母の女の子ってのはものすごう利口でしたからね。
『おばちゃん、行こうや』って言いますから、でまあ3人。
もう一人の友達とね、3人が行って。
そして風呂屋のね、まきりに行くんですよ。
風呂屋に積んでるんです。
そうしたところが、あたしが一番下手なんです。
ほいでね、あの、こう、そろっとろう思うものの、大きな音をさせてね、
くずれたりしてね、『おばちゃんが一番下手じゃ』って
その女の子が言うんですよね。

その友達はね、その土地を、よう慣れてるからね、
遠くから大きな柱下げて来たりしてね、
それをクド(へ)くべるんです。わたしらはないでしょう。
じゃけん、どっからか盗んでこにゃ本当ないです。

目覚町付近のバラック(小川虎彦 撮影/長崎原爆資料館 所蔵) 

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