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証言323 | 8月16日以降 | おばちゃんが一番下手じゃ | 当時35歳 |
焚くもんがないです。
本当、焚〈きもんのないほど辛〈いことはないですよ。
下駄から靴からみな燃やしましたね。
おクド(かまど)さんに。汚いじゃなんじゃいわれん。
夜ね、どうしても明日焚〈くもんがないから、
どっかの木を盗みに行こう言うてね、盗みに3人が行くんですよ。
毎晩盗〈りに行かにゃ、どっかに木を盗〈りに、盗みに行かにゃいけんけど、
昼、どこぞあるか、見とくんです。
そして夜になると盗みに行くんですけどね。
その、保母の女の子ってのはものすごう利口でしたからね。
『おばちゃん、行こうや』って言いますから、でまあ3人。
もう一人の友達とね、3人が行って。
そして風呂屋のね、薪〈を盗〈りに行くんですよ。
風呂屋に積んでるんです。
そうしたところが、あたしが一番下手なんです。
ほいでね、あの、こう、そろっと盗〈ろう思うものの、大きな音をさせてね、
崩〈れたりしてね、『おばちゃんが一番下手じゃ』って
その女の子が言うんですよね。
その友達はね、その土地を、よう慣れてるからね、
遠くから大きな柱下げて来たりしてね、
それをクド(へ)くべるんです。わたしらはないでしょう。
じゃけん、どっからか盗んでこにゃ本当ないです。