もう、こんなくるしかれば、ほんと『殺してくれ』
というようなことをですね、言っておったわけですよ。

全然その、動けることできなかったわけですから。
せきが出てても、それをのどにタンが詰まっても、
それを自分の力でき出すことができないというようなことで、
やはりその、2回ほど息が止まってですね、
なんですか、もう「あの世」まで行った
というようなこともあるわけですよね。
その当時おられた、その、病院の先生とか看護婦さんですね、
また身内のものまでも言っていたけれど、
私がその、助かるというようなことは、誰一人として言っていなかったし、
私自身も、もうくるしくてですね、もう、『殺してくれ』というようなことも
盛んにわめいておったわけですが…。

その間の本当のくるしみっていうのは、本当に、実際にそれにですね、
遭ったこと、がない人は、本当知らないと思うんですね。
それで、私のキズっていうのは、後ろが大体だいたい、背中の方が全部…、
腰がバンドしていただけ、残っただけで、焼けているしですね。
うつせに寝たっきりだったから、胸の方が全部床擦とこずれでですね。
キズだらけになっているし…。

赤い背中(「長崎原爆戦災誌」第二巻/長崎市 刊より) 

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