麻酔もありませんで、
そして『やめてー、やめてー』もう、『痛いからやめてー』って。
軍医ぐんいさんは、『止めたらおまえは死ぬぞ』、
『死んでもいいからやめてー』。
それほどつらい、痛い思いをして。

もうガーゼも不足していた時代でしたんで、
使ったガーゼを洗濯して、土鍋どなべで煮沸させて、
それを私の傷口に、薬がないもんだから
食用油に浸して、割りばしで父がその傷口に詰め込みました。

それで、昨日入れたガーゼを抜き出す時のただれた肉が、付いてきて、
もう、皮をむしられる思いで、朝の来るのがつらかった、
そういう思い、今も身ぶるいします。



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