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私の隣には、田川福松さんのお嬢さんの
メリコさんというのが寝ていたんですね。
ところが、メリちゃんがですね、も、夜通〜しお祈りです。
あの人うちの生徒で、一年生だったんですね。
小さな、まだ13でございますよ。
そのお嬢さんがですね、もう、マリアさまへの
『めでたし聖寵満〈ち満〈てるマリア。
罪人なる我らのために、今も、臨終の時も祈りたまえ』
て(いう祈り)、そればっかり夜通しです。
そして、あのぉ〜、このぉ〜、血を吐〈くんでございますね。
その血が、まるっきりあの、黒い綿〈み(たいな)…、血綿なんですね。
それをぎょっぎょっ吐〈いては、
『めでたし聖寵〈満〈ち満〈てるマリア』ってもぉ、夜通〜し祈りです。
そいで電灯はございませんしね。
そいから光がひとつもない真っ暗な中なんです。
真っ暗な中で祈りして、そしてあの、死んで行かれましたけどね。
苦〈しみを訴える人(の声)じゃなくて、みんな祈りの声なんですね。
三十八人みんなそこで亡くなりましたけどね、
その人たちの最期〈の綺麗〈なこと…。
まるっきり聖歌を歌いながら子供たちは死んで行くんですね。
それを、お父さんやお母さんが見るんでございますね。それで
『娘は非常に綺麗〈な最期〈を致しまして、ありがとうございます。』っていう
言葉を聞くんでございますね。
わたしはもうとにかく、長崎の信者のすばらしさにはほんとに、あのぉ〜、
これは、わたしの十年間の教育方針が間違っていなかった。
これならばこそ余計私たちは、それこそ光を輝かして、あの…