わたしのいとこの(女の)子も、純心じゅんしん(女子高)の2年生でしたかね。
そこに挺身隊ていしんたいで行ってたんですよ。
その娘はね、髪がきれ〜ぃにとれてしまう(抜けてしまう)のね。
そしてね、自分の死を予言しましたよ。

わたしにね、『おねえちゃん』て云うから
『わたしの髪を綺麗きれいに三つ組みにしてくれ』て、云うの。
(三つ組みには)出来ないですよね。
もう、ただ少し残ったのがチロチロってしてるだけ、丸坊主ですもんね。
『どうして?』って云ったらね、
『わたし』、わたしたちカトリックでしょ、
『わたしね、マリアさまのところへ行くの。あした』
(いや)あさってって云いましたね。
『だからね、マリアさまのところへ行くから、髪を綺麗きれいさばいてね、
三つ組みして行きたい』。て、云うんですよ。

『あんたにはもう髪はないよ』て、云えませんしね。
『そうね。綺麗きれいにしてあげよう。』て云うて、まぁくしでね、
くしでこうすると少し残ってたのも抜けてしまうんですよ。
も、ほんとにね、髪をこうするでしょ。
しただけで、ぼっそぉって抜けてくるんだから。

そして、やっぱり自分が云った通り、あさっての日が来たら亡くなりました。
マリアさまの歌を歌って…、そして静かに息を引き取ったんですよ。
だから、あの娘はもぅほんとにそのまま天国のね、
マリアさまのところに行っていると思います。
『あらぁ、この娘は自分が天国に帰る日を予言したねぇ』って、
わたしたちは…、

浦上天主堂前の石像三体(一体は首が欠損) 伊藤明彦 撮影 

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