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証言303 | 8月15日以降 | 明後日死ぬんじゃなかろうかいう | 当時13歳 |
『痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ』言うて
『暑い』とか『痛い』とか言われてみなさん寝ていらしたんですけど、
介抱の方もですね、色青ざめて患者さんも亡くなられ、
今度はまた付き添いをしていらっしゃる方も倒れられる。
『おかしいね、この、お母さん、病気はおかしいね。
付き添いした方がね、患者さんより早く亡くなったらね、
患者さんはどんななるのやろね。お母さん』って言ってたら。
お隣のお爺ちゃんがですね、目からと耳からと鼻からと、
あの蛆〈が出てくるんですよね。あんまりかわいそうだからピンセットで、
こうして私取ってあげてたんですよね。『痛い』って言ってあったから。
そうしたら、もう、お母さんが『隣の人もいいけどね、お前、
お母さんにも蛆〈がね、付いてるよ』って言いますもんですから、
私、ひょっと腕を見ましたら、やはりやけど、ケロイドですか、
ああいうふうな火傷〈、こうしてるのにですね、
やはり、はい(蝿〈が卵)を産んでるんですよね。
その蝿〈をピンセットでもう、こんなして一つ一つ取ってあげてですね。
腕を扇〈いでやったりですね。
もう、そうこうしてるうちに、私も自分の身がですね、
もたなくなりまして、具合が悪くなりましたけどね。
みなさん、やはり全部、全員っていう程
亡くなられましたんですよね、300人が。
そのうちに母と私だけが生き残ったんですよ。
で、あー、もう二人だけ生き残ったけど、
もう、明日死ぬんじゃなかろうか、明後日〈死ぬんじゃなかろうかいう。