そしてね『起こしてくれ、寝かしてくれ』
言うのが大変つらかったんでしょう。
寝てるのがつらいから起こしてくれって。
でも、この辺みな、あの、火傷やけどされてますので持つとこが無いわけ。

頭の先をちょっと、こう、持ってね、あの、起こしてあげるわけ。
背中全部焼けてらっしゃるので、ビシャビシャだから。
ほいで、あの起こしてあげましたらね、
ものの1分経たぬうちに寝かしてくれって。
ほいで起こしてあげたり、寝かしてあげたりね。

そんな、あの、重傷者が亡くなられるっていうのは、
まあ、私はあれ(仕方がない気持ち)でしたけどね。
そこに3人兄弟の坊やがね、昼はもう、あのう、
撃剣げっけんごっこ(チャンバラ)やって遊んでドンドンしてたのがね、
夕方、パタッとおとなしくなっちゃったんですよね。
そして、見たら、もう、それがね、死んでるって。
『あら、どうしたの、今、坊や、大騒動してたのにね』って。
『何かこのたびの爆弾にった人はね、
こういう状態でみな死ぬみたいですよ』って言ってまして。
みんながみな怖がりますね。……

屋外の救護所で手当を受ける人々、手当する人(松添博 画/長崎原爆資料館 所蔵) 被爆者の絵・血とうみの臭いがただよいウジが負傷者の体をはいまわった。(沼田鈴子 作/広島平和記念資料館 提供) 

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