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証言299 | 時期不定 | 息が有るの、焼き場へ連れて | 当時40歳 |
そこで40日おりました。その40日間の辛いこと。
もうどんどんどんどん、もう何百人いう人がみな死んでいくんですもの。
そいで、あの、付いとる人(付き添いで世話をする人)無かったです。
無かったもんですからね、火傷〈へみな蛆〈がね、もう、これぐらい、
ぐらいの蛆〈が見よういうて見ららしません、あんな大きな。
いっぱい湧くんです、それが。除けても除けても、それをね、
あの、みんなで、あの、落とすんです。あの、ちりとりと箒〈で。
いがって(痛がって)んです。痛いから、火傷〈へ。もうここから、ここから、
もう、みな、もう、この方から蛆〈がダラダラしとるんですもの。
もうほんっと、もう。
ほいで、それ、箒〈で、あの、それを運動場へ持って出ましちゃ、
その蛆〈を焼くんです。そうしてやれやれ蛆〈をみな落とした思うてもまた、
その夕方にまた湧いとるんです、次が湧いとるんです、また。
そして、お産の人が2、3人ね。こんな赤ちゃんが産まれました、
こんなんが。(妊娠)六月〈とかいうんでしたがね。
このぐらい、ぐらいの赤ちゃんが出てきたんです、
あたしゃビックリしましてね。
そしてそれは息の『あら、まだね、置いといてあげて下さい。
息が有るんじゃから』言うてもね、息が有るの、みな、連れて出るんです。
焼き場へ連れて行くんです。
ほして、その、ま、赤ん坊はもちろん死にます、そりゃあねえ。
むごいことです。ほんとに。