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証言298 | 8月16日以降 | 蛆が湧いて、中に入り込んで | 当時24歳 |
あの講堂みたいな広い所にね、居るわけなんですよ。
もう筵をひいて夏の暑いことですから、
もう何も着ちゃおりませんね。裸で寝せられて、
あっちもこっちも焼けたり怪我〈したりしてますもんですから、
もう治療〈するのに大変ですよね。
ほいで、なかなか火傷〈でも治りませんからね。
とにかく蝿〈はいますし不潔ですし、しますからね。
もうその広い患者の居る部屋にも蝿〈はぶんぶんたかりますので、
この『痛い、痛い』言って寝てる患者さんのところの方から蛆〈がね、
湧いて出ますんですよ。ほいで、中に入り込んで、
そこは疼〈いて痛いんですね。だから『痛い、痛い』言われるから
ピンセットでもう出せば、出るわ出るわね、
もう切りがないね、蛆〈虫が出ましたりしました。
それから、ま、火傷〈が、この何かお薬でも当てますのに、
こう黄色な膿〈、爛〈れた、この汁みたいな、
一緒になりますしね、何とも言えない臭いがね、ものすごかったですね。
そして不潔なそういうふうな状態ですんで、
あの破傷風〈とかいうてもっとも恐ろしい、
あの、病気がありますですよ。そういうふうな患者さんも居ましたからね。
とにかく、もう本当に何て言うたらいいか、
もう判りませんようでしたですね。