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証言288 | 8月16日 | 鼻血が出たらもう終わりじゃ | 当時13歳 |
ちょうど終戦の翌日やったのね、それがね。
手をちょっと頭にやるとぱらぱらっと髪が抜けるんですよ。
ほいで、ちょっと風が吹いたようなんでも何でもぱらーっと髪が抜ける。
ほいで、まー、とにかく不安だから廿日市の方の病院にね、
行ってみたんです。
行ったら、あの、先生がいろんな本を見たりなんかしてもね、
よう診〈てから、こう診〈てもおかしい言ってから、ま、とにかく家で、
あの、安静にしとりなさい言うてから言われて帰ったんです。
ほいで、あの、家でじっとしとったらね、あの、
身体をこう見まわしたら赤い斑点〈がこうたくさん出てるんです。
ぷつっと全身に出るの。
ほいで、それをこう押さえて、手で押さえてから擦〈りゃ白うなる。
ほいでちょっと離したら赤くでるんです。
そうしよるうちに母なんかが心配して
近所の人やなんかに聞いたりなんかすると、
まあ、『五日市〈とか草津〈とかね、いうような所で、あの、
髪が抜けてから赤い斑点〈がよう出てね、
ほいでそれが元でから死ぬる人が多い。ほいで
あれが、あの鼻血が出たらもう終わりじゃ』いうて
いうような聞いたもんですからね。
ほいで聞いて不安な気持ちでおったらね、
次の日に、一晩寝てから次の日になってからね、
朝見ると、あの、ちょっと起きゅうか思うてみると、あの、
鼻血がたらたらーっと出るんですよ。
ほいで鼻血がね、こりゃ、もういよいよきたかのう思うてからね。