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証言273 | 8月14日 深夜 | ダリアの花を一本。せめての野辺送り | 当時16歳 |
14日の深夜ぐらいから、けが人が皆、危篤状態になりまして、
夜中に、妹が一番先に死んだと思います。息が切れて。
それで、ばたばたしているうちに気が付いたら、
赤ん坊が死んでまして、それから、おじさんが
『赤ん坊とか小さい子をよろしくお願いします。』
とか何か言ってリンゲルをやった後、直後に死んだと思います。
だから、14日の夜から15日の早朝にかけて
みんなぱたぱたーっと死にました。時期が同じでしたねぇ。
それから、日にち、あれは一日くらい置くのが
法律の規則なんでしょうけども、
われわれはやっぱりどっか行かなきゃなんないんで、
院長さんがなんか手配して下さいましてね。
すぐ火葬の手配してくださいまして、
その日のうちに、もう昼頃には棺〈に、収めて。
で、亡くなった日に、病院でダリアの花が
すごく真夏ですからね綺麗〈に咲いていましてね。
ダリアの花を一本黙って取って来て死体にのっけて、
お棺〈の中に入れて上げました。
まあ、せめての野辺〈送りです。ね、ええ。
そこで火葬しました。みんな一緒に。
それで、婦長さんがいっぺん病院に帰られまして
焼けた頃また迎えに、お骨になった頃また迎えにこられたと思いますが、
そのときに終戦になって、終戦の放送ですか? 何か、
『天皇さんの放送が、ありましたよ。』とか、と言う事言われ…
『−−玉音〈放送−−』