病院の先生に往診願ったわけですよ。 そうしたところがですね、あの、玄関まで来てね、とにかくその、 『患者さんを玄関まで引っ張って来い』と言うんですよ。 ほいで、あたしはとにかくその寝たまんまでしょ。 ほっと(そうすると)ね、少しでもそのベッドに触られると、 その、骨折したところに肉が挟〈まってね、 もうそれがものすごく痛いんですよ。一寸も動かされないわけですよ。
だから母もたまりかねてね、『とにかく靴のままで結構ですから 上がって下さい』って言ったんですよ。 そしたら上がってきてですね、ほいで診察〈してくだすったんですけども、 とにかく『手とか足ならね、ま、治療〈の方法もあるけど、 肝心な脊髄〈骨折では、あの、治療〈のしようがない』って、だからねあの、 『板の上に薄い布団〈でも敷いて、寝せといてくれ』っておっしゃったんですよ。
結局そうして寝せられていた訳〈なんですけどもね、 だんだん今度そこからね、腐〈れだしたんですよ。 まず骨折したところから腐〈れだして、それから仙骨〈が腐〈れだして、 それからあの、臀部〈、おしりのね、高いところが両方。 そいからあの、太い腿〈どの所が両方。 それからかかど(踵)、っていうよりここにもう、 一箇所二箇所増えて八箇所から腐〈れだしたんですよ。
それでね、日赤病院にね、連れて行って貰〈ったんですよ。 担架のまま、ところがもう、どうしようもないからその、 『薬を上げるからね、これで自分の家で治療〈してくれ』とおっしゃるんですよ。 |