HOME
証言268 | 8月14日頃 | 住むところは、駅、それから野原 | 当時21歳 |
伊藤:亡くなった方とか、怪我をした方とか、
随分〈沢山〈ご覧になったんでしょうか?
孫 :あんね、死んだ人とかね、怪我〈ばした人とかね、
見られたやろうかって。
女性:あー、その時はもう、何て言うですか、その時は
人間じゃなくって、色々な怪我〈をしているとか、
首の無い人やらですね、
人間の上へ重なったりなんだりしてもう、
人間の皮は着らずにおって、
実だけの人たちが呻〈いたりしてですね、もう、
あの時の悲惨〈さは何ていいましょうかねえ…
もう死体なんかも箱にポンポンポンポン、
人間をもうゴミそのものですよ。
子供も大人も一緒たくりですねえ…
そしてもうどこに積んで行くのかと思って
黙って見てるともう、空き地にそのままざあっと捨てて、
そんまま石油みたいのひっ被〈せて焼いて、ほんとまあ私も、嫌ですね、
二度と繰り返したくないですね。
恐ろしくって、もう…
伊藤:住むところは、(女性……)どうされましたか?住むところ。家は?
伊藤:どうされましたか? 住むところ。家は?
孫 :住むところはどうでしたかって?
伊藤:どうされましたか?
孫 :あんね、住むところはね、どうされましたかって?
女性:どこ?
孫 :住むところ。
女性:住むところ?
伊藤:家。
女性:住むところは今言うように、駅、それから野原。
そこがあたしの住むところです。