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証言261 | 8月12日以降 | ひもじいやつは食べていいよって言って | 当時22歳 |
兵器廠(兵器工場)、兵器廠〈行って、
それから、もう、始まったわけ、死体片付け。
いいかげんに人間を積んでから。
あっちこっち板とかぼろとか石油とか、
……、火をつけて、焼いて。
早いうちはこの焼けるのを見ておった。
この人間が焼けるのを。
あー、こっちが、もう焼けて、あの、破裂〈する、気持ち悪いな。
お腹がジュージュー、ボーンちゅうて。
燐〈がじゃんじゃん上がるし、縮〈まったり伸んだりするでしょ、火の中で。
よう人間ていうのはやっぱしよう動くもんじゃなぁって、よう見とった。
生きてる人間みたいにこう動きよった。手も足も。
私がこっちに寝とったら、まあ、ここらへんに女子挺身隊〈が、
もう、こんなして、もう死んでるわけ、20人位。
気にかからんかったなー。汚いとかそういう気持ちも無くて。
焼け残ったこの肩ね、ここが、まだ残ってる人もいた、焼けた後に。
肉の塊〈がこっちにあるんだが言うて、みんな冗談して、
あの、ひもじいやつは食べていいよって言ってから、この取って見せたら、
この、これからね、これだけ骨が少し残っとった。
生きてる人、あの、助けて、病院に連れて行くんだけど、
車(トラック)に乗せよったがね。
また車の上であの、こうしてから痙攣〈して死ぬでしょう。
『一、二の三』でまた道に投げよったよ。
あの時分〈は、人間も何か豚か鶏〈投げるようだったよ。