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証言258 | 8月11日 | 一番苦しい思いしてるでしょうなぁ、圧死だから | 当時41歳 |
瓦一枚一枚、柱一本一本、板は一枚一枚はぐって(剥〈がして)、
一番先に、女房を見つけ出した。
ちょうどお昼時だったもんだからねぇ、
炊事場に立つとったんですね。それでなんか、
包丁〈でなんか料理しよったんでしょ、出刃包丁〈持つとった。
それがね、……、まっけん(眉間)に、ボウスと、
だから即死ですよこりゃねぇ。
そりゃまた可哀想〈に、ここへまたあの、
大きな出刃包丁〈刺さってるんだもの。
それで、……うちにー、座敷の下の方に一番かしらの娘がね、
非常袋を首にさげたまま。これはその、圧死〈ですよ。
顔なんかこんなゆがんじゃってね。
これが一番苦〈しい思いしてるでしょうなぁ、圧死〈だから、
即死じゃないでしょうね、恐〈らくね。
そうすると、あと一人残ってる訳〈だ。
これがーどこにおるのか、わからないで、ま、
ぐるぐるぐるぐるぐる探したらね、
『お宅の嬢ちゃんじゃなかろうか、下の広場の方へ…、
あの人じゃないかと思ったんですけどね』ちゅうので、
『そうか!』ちゅう訳〈で、すぐ行って、案〈の定〈そうだった。
まぁ、三つだったけど。それでまあ、すぐ死体を持ってきて、
それでまあ、親子そこへまあ、四人、を並べて。