まぁ、足音がすれば『水、水、水、水』、 足音がすれば、死んでると思うとったらその、ずらーっとですよ。 片方はもうこの辺でじゃんじゃん焼いてるわ、 死人が見つかったのは焼いてるわ。
焼け爛れたような人ですよね、 髪毛〈も何にもない人ですよね、『水、水、水』。 『あなた何処〈の方?』って言うても、もう分〈からないんですよね。 もう可哀そうで、もうほんとにも、飲ませたい、あげたい。 本人が二、三歩行ったらこけるぐらいですから、 飲ませる力が無かったんですよね。 可哀そうに死んでいった人ばっかしですね。
だから、私はですね、本当に今でも、必ず息切れしたら、 あー、あの人たちに飲ませてあげられなかった、 あんなのがやっぱり自分に祟〈りがきたんじゃなかろうか…。 |