焼け爛れたあの学校の校舎の下の中で、 なんだかまだ生きているような気持ちがするんですよ。 あの重たい材木の下で、もう、こう、生きとるんじゃなかろうかと、 真っ黒ん焦〈げたような姿が目にちらついてね、 とうとう、私、一晩中泣いとったんですけどね。 主人が『泣いたってだめじゃないか』って怒ったけど、 そう言いながら主人も泣いとったしね。
水をいっぱい持って今度は 金比羅〈山を超えて、向こうに下りましたけれども。 坂本町〈の上の方、大学の上の方にずーっとお墓があるんですよね。 あのお墓の墓石がひっくり返って、 そうして、そこらへんでみんな人が倒れとって、 膨〈れて、倒れているのを見たときに、もうこれは進まれんと。
人相も何もわからんようになっているから、 到底〈我が子か人の子かわからんというようなことで、 我が子を探すという風な気持ちよりも、 その悲惨〈さ、むごたらしさに打たれて、もう、自分の子供だけじゃないと、 こりゃもう全滅だというような感じでね、 結局、どなたのかお骨を少しいただいて、 現在までお奉〈りしているというような格好ですね。 でも死骸〈を見ないということにはあきらめきれないですね。 |