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証言243 | 8月10日 | 自分で焼いて、茶碗に骨を入れて | 当時42歳 |
ずっと行きますとね、防空壕の中には5人も10人も死骸〈ばっかし、
生きとる人間は一人もおらんですもんね。
それで、こら学校に行ったって、こらとても息子は生きておらんじゃろう、
せめて死骸〈でもと思って行きました。
学校はちょうど爆心地から谷ひとつ超えた高台なんですね。
きれいに吹き飛んでしまって、箒〈で掃〈いたごとありましたね。
それで私は大きな声で、次男がアキラちゅうもんですから、
『アキラ、アキラ』ちゅうておらみましたらね、
『はーい』ちゅうて返事しましたもんね。そしてから行ってみましたら、
ちょうど基礎の角にしゃがんどりました。熱かったとでしょう、
全部裸になってしもうてですね。
それから私が『お父さんが来たけん大丈夫ぞ』と。
しとったゲートルを外して、ゲートルをつないで
おんぶして、帰って来たとです。
そして、まだ生きとりましたけど、今考えると、爆心地、
そこで息引き取りましたもんね。
それで、一時そこで休みまして帰ってきましたら、
戦闘帽〈かぶっとるもんですけん、これから上は焼けとらん。
一瞬の火やもんですけん。これから下はきれいに焼けてしもうて、
顔なんかこう腫〈れてしもうて、手なんか雑巾〈のようになっとりましたですね。
そして、しようないもんですから自分で焼いて、疎開〈材木を集めてきて、
どんぶり茶碗があったものですから、それを拾って来て骨を入れて…