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証言241 | 8月10日 午後 | 『お母さん』と言う言葉で、娘と… | 当時15歳 |
わが家の焼け跡のところに来ますと、弟の友人が杖を持って、
弟の死ぬときの状況を教えてくれたんです。
やっぱり生きたまま家の倒壊〈した下敷きになって
『助けてくれ、助けてくれ』というけれども、自分も負傷しとるし、
小さい子供ですからですね、材木をよけるとかなんとかできないし、
もう、焼けるのを見たまま、死ぬのをそのまま見たそうです。
本当これが生き地獄と言うんでしょうかね。
それから、あと、すぐ下の妹がですね、頭は縮〈れ、顔、皮膚の露出部分は、
皮膚が焼け爛〈れてひっくり返って、顔も全然変形して、全然わからん。
そして、すれちごうて行こうとしたら、『お母さん』と言う言葉で、
お袋は自分の娘ということがわかったと。
それでお袋は妹をかるうて(背負〈って)、
そこの方に避難〈するつもりで畑のほうに寝かして、一時様子を見たら
『お腹がいたい、いたい』と言いながら、すぐ息をひきとった。
あと二人の子供は、やっぱり家の中で即死をしたようです。