HOME
証言240 | 8月10日 | 「ブーッ」っていうたとき振り返り | 当時29歳 |
まあ、午前中は火傷のひどいのをですねぇ、アネステジンとか、
あるいはそういうものを身体に振り掛けるのに、
もう2〜3人に追われてですね。
そしたら、午後から近所の人が私を連れに来たんですね、診〈てくれと。
そして、その日の翌日の午後に初めて往診〈してみてですね、
周囲の人たちのことがわかったんですが、
行ってみるとまったく、表に出ると本原町〈一帯無人ですね。
木はこう、枯れ枝みたいになっているし、電線は垂れ下がっているし、
電柱は燃えかって、家は倒れてる、燃えとる、…もうけぶってる、と。
なにか無人のその…、あれだけの人がどこに行ったんかなと思って、
下の家に行くと『先生、診〈てくれ』と言う。
それで防空壕〈に行くと、
狭い防空壕〈の中に20人ぐらい入っているんですね、皆。
ひどいのは頭割られるとか、腹から腸〈が出るとか。
それはもう死んでいるわけですから。しかし、あとはもう火傷〈です。
それから、軽いのはガラスの、傷の血が出るのと。
火傷〈が顔と背中と、足のふくらはぎとか。あるいは胸と腹とか。
どうして顔と背中と火傷〈したかというと、「ブーッ」っていうたとき、
田に居った人とか、畑に居った人とか、後ろ見てるんですね。
後ろ見たときにピカリとしたもんだから、
顔と背中と火傷〈した人なんかも居るんですね。