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証言237 | 8月10日 | 焼くとやもん、本当見ちゃおられん | 当時29歳 |
私たちの防空壕に入って来た人がですね、
赤ちゃんを生んだすぐの人が、
お母さんもお父さんも赤ちゃんも亡くなる。
おばあちゃんも亡くなるしね。皆亡くなんなさったですもん。
そのときの哀れがですね、本当、
あんなとば見た人じゃないとわからんです。
着物は着たまま、焼けたまま、着たまま焼けて、
こんなとこは焼けてしもうてな。
生きとる間は、こんな皮膚の焼けたところは、
血のピュウピュウピュウピュウ出るですもんね。出るとはもう…。
生きとる時は水が欲しいでしょ、『水くれ、水くれ…』言うてな。
その人が亡くなって、それば細か車、なぁ、二つ車。
あれに乗せて、寝たまま乗せて、連れて行って、トタンばすいて(敷いて)、
そいに薪〈ば積んで、焼くとやもん、本当見ちゃおられんかったですよ。
おばあちゃんもそんなして焼きなさるでしょ。
私は怪我〈をしたばってん死なんかってよかったねと思いましたけど、
しまいには、死んだほうがよかったちゅう思った時もあったです。
見ちゃおられんかったですよ。本当…。