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証言235 | 8月10日 午前 | 焼け爛れた猫がペロペロ | 当時15歳 |
浦上駅前まで来た時にですね、合同馬車〈、
まあ日通〈の馬車ですけど、合同馬車〈というのはね。
馬車を引いたまま、馬が倒れてですね、馬車が上になって
馬が下になっておった訳〈ですけども、
それが臓腸〈が破裂〈しとっとですね、それで三間〈(約5.4m)ぐらいこう、
臓腸〈が飛んどっとですね、それを焼け爛〈れた猫が
ペロペロねぶって(なめて)たのを見て
反吐〈を吐〈いたのを憶えているんですよね。
そこでその、足が水脹れしとったんですねえ、それがパンクしたんですよね。
それが空気に触れてもう痛くて、子供ではあるし、ワンワン泣いとっとですね。
大橋〈に電車が2〜3台おったのは憶えています。その中にね、
黒焦〈げになった死体が、立ったまま黒焦〈げになっとったのは
憶えているんですよ。
それから大橋〈の鉄橋を渡るときに、下を見たところ、人間がいっぱいこう。
水飲みにやっぱり入ったんでしょうね…。
それから『水、水…』言うて、這〈うて来るわけですよ。
それでもう、足を引っ張りですね。私も蹴〈っ散らかしたのを
憶えていますけどね。
それから、全部、立っている人はね、幽霊みたいに手をこうしてるんですね。
だらっと下がっているのは皮なんですよ、全部ですね。
そしたら上から汽車が下って来たわけですよ。
そして上って来たもんだから手を上げて止めて、
そしてもう一歩、車内に、客車内に入り込んだところが、
いっぱい人が居るんですよね、怪我〈人が。
ここのところまで来たときに、ロッキード(戦闘機)ですかね、
双発双胴〈(エンジンと胴体が各2つ)がおったですな、
あれが、ウワーッって低空で来たんですよ。