で、行きましたら、その5人の看護婦が、 本当に芋づるを手にしたような格好で、 殆ど離れ離れでしたけれども、即死しているわけですね。 もう、見るからに様子が変わってしまっているわけです。 爆風〈で飛ばされて。裸にしてしまわれてですねぇ。 それと、膨張〈してしまって、身体が。見分けがさっぱりつかないんです。
で、やっと、あの、「もんぺ」をその当時着てましたから、 その「もんぺ」の柄〈が、足首とか襟首〈に少し残ってるわけですね。 その柄〈で大体〈見分けがついた訳〈です。
そこで、爆風〈で飛んでおります木切れを、 その遺体の一人ひとりの上に積み重ねましてね、皆で。 あくまで別々にして焼かなければ、遺骨〈の取り扱いで まずくなるということでございました。
さあ火をつけましょうということになったんですけども、 とても私にはそんなことは出来ませんから、『先生お願いします』と言った訳〈 ですけども、『きみが責任者だから…、きみがしなければ誰がするか』と。
もう、本当に私、そのこと今思いますともう、 なんていっていいか分〈かりません。もう本当につらいんです。 ですけど、まあやらなきゃいけないんだと思って、 マッチを擦〈って、拝〈むようにしてそれぞれ御体〈に火をつけました。 ぼんぼんぼんぼん燃えていくんですね。 本当に、あの時のことを思いますと、胸がいっぱいになってしまって。 |