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証言229 | 8月10日 午前 | 立木が燃えていると思ったんです | 当時15歳 |
大学病院から山里の丘へかかる途中ですが、
最初は、立木が燃えていると思ったんです。
そのそばを通っていて、その時、人間だと思ったんです。
黒焦〈げの人が立ったまま燃えているようです。
恐〈らく首が先に飛んだんだと思います。
山里〈の一番高い丘に上がっときに初めて浦上天主堂〈とか、
我が家の方とか見下ろすことが出来るんですが、
まるっきり道がなくて、自分のうちのある場所を目で探したんですが、
これがわかんないんですよ。道もない…。
もちろん家なんかありゃしませんし、橋も埋まってますし、
目印になるようなものが何もないんですよ。
で、思い付きまして天主堂〈へ上ったんです。
そこからまっすぐ丘の方向を見まして
自分ちの焼け跡の見当をつけたんです。
もうねぇ、本当にあれは、砂漠ですね。