殆どの人が
火傷〈と、それから小石とかガラスが突き刺さったりね、
木の枝が刺さったりした人達が
殆〈どでしたね。
いちばん多いのは、もちろん
火傷〈が一番多かったんですが、
そうしてたまにですね、あちこちから
『水、水、水をください』ちゅうような声が聞こえてくる。
その頃は、まだ
放射能の
障害〈とか放射能でやられてるということは、
全く誰も知らなかった時の話です。
なぜにそういう無気力状態になっておったのかという理由は、
全然私達は
分〈かりませんでしたねぇ。
まず救急手当だけを次々にしましてね。
ところがまあ、中に看護婦さんがね、
『どの人が死んでて、どの人が生きているのか
分〈かりませんよ』と言うんですよ。
だから、そいじゃもう一応ね『目をね、見て、
瞳孔〈が開いておったら、
亡くなっている人だから』。
瞳孔〈反応がある人は、とにかく出来るだけの
治療〈をして上げよう
ということで、応急手当をいたしましてね。