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証言222 | 8月9日 夜 | 瞳孔が開いておったら、 | 当時26歳 |
殆どの人が火傷〈と、それから小石とかガラスが突き刺さったりね、
木の枝が刺さったりした人達が殆〈どでしたね。
いちばん多いのは、もちろん火傷〈が一番多かったんですが、
そうしてたまにですね、あちこちから
『水、水、水をください』ちゅうような声が聞こえてくる。
その頃は、まだ放射能の障害〈とか放射能でやられてるということは、
全く誰も知らなかった時の話です。
なぜにそういう無気力状態になっておったのかという理由は、
全然私達は分〈かりませんでしたねぇ。
まず救急手当だけを次々にしましてね。
ところがまあ、中に看護婦さんがね、
『どの人が死んでて、どの人が生きているのか
分〈かりませんよ』と言うんですよ。
だから、そいじゃもう一応ね『目をね、見て、瞳孔〈が開いておったら、
亡くなっている人だから』。
瞳孔〈反応がある人は、とにかく出来るだけの治療〈をして上げよう
ということで、応急手当をいたしましてね。