その間にですね、もうあらゆる死体が転がってますね、 女の人と、小さい子供を連れたりなんかした人はね、 山となして列をなしてですね、みな死んでます。
そういう姿とか、半焼けになって、下半分は骨になって、 上半分だけが焼け爛れて残っている姿とか、 上半分が除けて、下だけが残っている人もあるし、 そういう姿を見たらですね、もう、いよいよ私の頭の中は、 変になってしまってる訳〈ですね。 もう、涙一滴、出る感じはなかったですね。 その、8月、あれは9日の晩だったと、夕方だと思いますね、 とにかく出来るだけ火葬しようと。 その辺の学校の、倒れたような柱なんかをみんな集めまして、 井桁〈と言って「井」の字形にずーっと並べてですね、ボロに油を湿〈して、 それに火をつけて点火して、火葬する。
いちばん人間の身体で燃えにくいのは、胸の肋骨〈の中ですね、 それから頭蓋骨〈。 ここがいちばん燃えにくいですね。少なくとも2時間以上かかるですね。 |