大橋が自分の家だから、電車通りの方出てみると、もうとても、 その道を行けるような状態でないと。 それから山越でね、その、浦上〈通って大橋〈行くより他に方法ないと、 いうことで、山へ登ったんですよ。
そしたらもう、一生懸命〈山を登ったけども、力尽〈きてですね、 細い道に倒れて、そして『水くれ、水くれ』と。 人が通るとそう言うて、叫〈んでおる。 あるいは足に抱きついて、連れてってくれちゅうのがだいぶありました。
………そこらに行くと異様〈な風景でね、松の木が、それ、山ですからある。 その松の木がね、地上から、まあ1mくらい上がったところから「ポキっ」と、 引き抜かれて飛んでっとるっすな、ですから、根は地の中に植わって、 そして、1mから上の所が、よほどの力持ちが 上と下と持って、引っ張って引き抜いたと。 これ見てね、ビックリしてですな、どうしてこんなことになったか、 全然、こっちでは判断つかん。そいから、 |