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証言207 | 8月9日 午後 | 何言うか貴様、帝国海軍ぞ | 年齢不明 |
これが焼けてね。
皮膚がね、ちょうど女の人が、ここに前掛したごと。
皮膚がべらーっと下がって、
目ん玉ちゅうのは大きいもんですな、
こんげんなって目ん玉が飛び出とる。
方角がわからん、どっち行ってよかか。
そいから私は娘の子をね、じわじわ手引いて、壕〈に入れて…。
とっとっとっと、とっとっとっと逃げ込んで来るとですよね、
何万ちゅう人間がその壕〈に。
中へ押し込むけども、中は熱つうしておられん。
そしたらね、海軍の工作隊というのが裸で仕事しよったですな。
6〜7人、一人抱〈えて入って来たです。
痛いちゅうことで、ああた、こうしてもがく…。
私がこうして見よるとね、可哀想〈にね、腹やられたとでしょうな、
皮膚はどうもなっとらん。その当時はね上等兵曹〈ちゅうとった。
(上等兵曹〈が)『何言うか貴様、帝国海軍ぞ、
このくらいのことでへこたれてたまるか〜』と、
おごらるる(叱られる)もんじゃから『くー』って苦〈しむ苦〈しむ。
10分ぐらいしたら、おとなしゅうなって死んでしもうた。
ほおぅ恐ろしいもんじゃなぁ、と。それからもう、浦上〈の私が居ったところは、
ガッガ、ガッガ、ガッガ、ガッガ燃え出した。こうして見たら、
県庁の窓からボンボンボンボン火の噴きよる。
県庁もいかれたばいねーと思うて。