停車場ていしゃばに行けば何とかなるだろうと思って今度は駅に行ったわけですよ。ね。
そうしたところが、あんた、駅には向こうからどんどん重傷者やなんかが
いっぱい、来るでしょうが。
駅もなにも死んだ人やなんかがおってどちゃばやしとるわけですたい。

五島町ごとうまちあたりからも煙が出とったし、県庁あたりからも煙が出とったし、
それから興善町こうぜんまちの向こうの方からも煙が出とったでしょう。
火がいて、駅前の方も、もう火がいとったですもんね。
あの辺はもうむちゃくちゃですたい、道路も何も。
かわらは飛んでるし、ゴミ箱から、戸から、戸障子しょうじから、みんな道路やなんかに
放り出したように飛んじまってるんじゃもん。
駅前なんかじゃ、もう大騒ぎさ、あんた。
そうしたところが、血だらけになっとっとやもん、みんなが。
向こうから来る連中は、半死半生ですたい。

ほいでから重傷者の手を引いたり肩を貸してやったりして、
こんだ(今度は)、重傷者の運び(役)ですたい私が、こんだ、そこ行ったら。

被爆者の絵・燃える長崎駅と八千代町のガスタンク(小溝昭七郎 画/長崎県被爆者手帳友の会 提供) 

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