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証言199 | 8月9日 19〜20時頃 | 生ぬるい血が口の中に… | 当時14歳 |
しばらくして『おーい汽車が来たぞー』と言う声が聞こえてきて、
そして、汽車が来たからみんな線路から外れなさい、
避〈けなさいと言ったけれども、
線路から避〈けきれる者ばっかしではないわけですよ。
線路の上で死んだようになって、長くなったのも沢山〈おりますしね。
やっと『乗んなさい』と許可が出て、それで乗ろうとしたところが、
何といってもホームから「ホイ」と汽車乗るようには行かないわけですね。
汽車の踏み台ですね、足が上がらない訳〈ですよ、下からは、レールからは。
それで、2回ほど、焼け爛〈れた胸をこすりましてね、
それでも痛いとその時は感じなかった訳〈ですけど。
やっとデッキに上がってみた訳〈ですね、そしたら椅子ていう椅子は
全部重傷者が倒れて、座っとるんじゃなくて倒れている訳〈ですね。
そして通路は泥と血だらけなんですよ。
しばらくしたらボツボツ汽車が出始めまして、
立っているのがとても、その、耐えられないわけですね。
そしてとうとう座ってしまった訳〈です。その血と泥の中にですね。
ところが座ってることが、今度は段々段々耐えられなくなって、
そしてとうとう横になったわけです。
横になる時には力果ててたのか、顔も伏〈せた訳〈ですね。
その時私は生ぬるい血を口の中にくっつけたような、そういう
いやな記憶がですね、いやというほどまだ頭に焼き付いている訳〈です。